ウズベキスタン戦の終了間際、PKを止めたGK小久保(中央)のもとに集まる日本の選手たち=ロイター
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 (3日、サッカーU23アジア杯決勝 日本1―0ウズベキスタン)

 極限の状態で、いかに力を出せるか。最大のピンチで、積み重ねてきた準備が生きた。

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 1―0で迎えた試合終了間際。ペナルティーエリア内でDF関根大輝がハンドの反則をとられ、相手にPKを与えた。GK小久保玲央ブライアンは「正直、PKには自信がなかった」という。

 ただ、試合ごとにGKコーチがキーパー陣でミーティングを開き、相手のデータを共有していた。試合映像も取り寄せ、PKキッカーの特徴やコースの確率を頭にたたき込んでいた。

 自身からみて、ゴール右隅に相手が蹴ってくるのは「分析通り」。横っ跳びではじき出し、ヒーローになった小久保は、ピッチ上で涙を流した。「選手、スタッフ、みんなの力がなければ、乗り切れなかった」

 大岩剛監督が就任してからの2年間、欧州の強豪相手にも「経験を積むのではない。勝ちに行く」と選手に目の色を変えることを求めてきた。勝利のために細部まで突き詰め、どの試合でもPKや1点を左右するセットプレーの入念な確認を怠らなかった。その繰り返しが、大一番で実を結んだ。

 シュート数は日本の8本に対し、ウズベキスタンは18本。本大会に向け、終始押し込まれた課題は残った。それでも大岩監督は「不格好かもしれないけど、決勝戦はこういうもの。選手が自信をもってくれたらいい」。

 勝負にこだわり、4大会ぶりの優勝を成し遂げた。(ドーハ=照屋健)

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