高濃度のPFOSなどが検出されている湧き水=2021年3月、沖縄県宜野湾市、国吉美香撮影

 健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物(PFAS(ピーファス))について、環境省は1日、地下水に残ったPFASを取り除く技術の実証実験の結果を、初めて示した。効果は確認できたものの、費用などの課題が浮き彫りになった。同省は同日に専門家会議を開き、引き続き知見の収集を進める方針も決めた。

  • 【そもそも解説】PFASとは?各地で検出相次ぐ

 PFASは1万種類以上あるとされる有機フッ素化合物の総称。代表的なものがPFOSとPFOAで、人体や環境中でほぼ分解されないため、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。国内ではすでに製造や販売が禁止され、新たな排出は限定的だとされる。だが、過去に排出されたものが水や土に蓄積したままとなっている。

 環境省は昨年10月~今年3月、沖縄県宜野湾市で地下水からPFASを取り除く実証実験をした。くみ上げた地下水を粉末の活性炭をつけたフィルターに通して、PFASを取り除いた。

 実験では、処理前に水1リットルあたり1140~534ナノグラム(ナノは10億分の1)だったPFOSとPFOAが、処理後は検出できない程度にまで除去できた。一方、稼働43日目には除去率が7割程度に低下、フィルターの洗浄が課題となった。また、稼働を続けるための費用は、水1立方メートルあたり13.7円で、環境省は実用化にはさらに下げる必要があるとみている。会議では委員から「活性炭で処理できることは分かってきた。技術の情報収集を進めて欲しい」との意見が出た。

活性炭で捉えて除去 参加企業語る三つの課題

 活性炭を使って水を浄化するという原理自体は、PFASに限った特別な技術ではない。活性炭がついたフィルターで濾過(ろか)する過程で、水分子より大きい物質を活性炭の隙間に捉える。家庭用の浄水器でも使われることが多い。

 問題は、その技術を水質や地…

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