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NHK放送センター=東京都渋谷区

 NHKは12日、国際放送の公式サイトなどで行っていた英語ニュースのライブ配信の中国語字幕で、沖縄県の尖閣諸島について、中国側の主張する呼称「釣魚島」と表示したと発表した。AIの自動翻訳機能によるもので、NHKは10日付で、自動翻訳サービスを終了したという。

 同局によると、NHKは国際放送で24時間行っている英語のテレビ放送を、インターネット上の公式サイトやアプリなどでライブストリーミング配信する際、グーグルのAI自動翻訳機能を使って、中国語やインドネシア語、スペイン語など9言語10種類に自動的に翻訳して字幕として表示。10日に日米首脳会談に関連して、尖閣諸島をニュースで取り上げたときに、表記が中国側が領有を主張する際の呼称である「釣魚島」となっていたケースがあったという。内部のスタッフが気づいた。中国語字幕については1日当たり平均で数百人の利用者がいるとしている。

 NHKの稲葉延雄会長は12日の定例会見で、「外部のAI翻訳機能を活用する形で実施してきたが、翻訳が不安定な場合があるという課題が顕在化した。NHKのサービスとしては適さないと判断して終了する」と述べた。

 NHKの国際放送を巡っては、昨年8月にラジオ国際放送の中国語ニュースで、外部スタッフだった中国人男性が原稿にない発言をした問題があった。これを受けて、2025年度当初から、ラジオ中国語ニュースではAI音声で読み上げる運用を目指す方針だ。AI音声は字幕とは別のシステムのため、今回の問題の影響は受けないという。

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