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ラジオ国際放送の中国語ニュースで問題の発言があった1週間後、NHKがテレビの総合チャンネルで5分間にわたって放送した「NHKからのお知らせ」。アナウンサーが「極めて深刻な事態であり、深くおわび申し上げます」などと謝罪した
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記者コラム 「多事奏論」 オピニオン編集部記者・田玉恵美

 NHKラジオ国際放送の中国語ニュースで8月、尖閣諸島は中国の領土だという発言が流れた。

 この日の未明に靖国神社で落書きが見つかり、警察が捜査していることを伝えるニュース原稿を読んでいた中国人スタッフが、いきなり勝手に口走ったのだという。前代未聞のことで、大騒ぎになった。

 だが私がそれ以上に耳を疑ったのは、NHKの事後対応のほうだ。

 1週間後に総合チャンネルでおわびをするというのでテレビを見ていたら、アナウンサーが神妙な面持ちでこう繰り返した。

 「日本政府の公式見解とは異なる、原稿にはない発言が放送されました」

 なにかと放送内容が政府寄りだと批判されがちなNHKだが、さすがに自ら公にそれを認めることはない。

 しかしついに、これほどあからさまに政府と一体であるかのような物言いをするのかとあっけにとられてしまった。

 たしかに中国人スタッフは日本政府の見解とは異なることを言った。だったらNHKの説明は間違っていない、何が悪いのか、と思う人もいるかもしれない。

 もし中国人スタッフが「日本…

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