かんぽ生命保険の不正販売報道を巡り、NHK経営委員会が2018年に当時の会長を異例の厳重注意とした問題で、市民らがNHKと森下俊三・前委員長を相手取り、厳重注意の経緯がわかる経営委の議事録の開示などを求めた訴訟は、東京高裁で17日、和解が成立した。NHKは18日午前10時に経営委のホームページで議事録を公表する。
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森下氏が原告に解決金計98万円を支払うことも盛り込まれた。厳重注意を巡る文書は、開示請求をしていた朝日新聞などへの開示にとどまっていた。和解により、その文書が放送法に基づく正式な議事録となり、ネットで見られるようになる。原告側は「画期的な解決だ」と評価している。
この問題は2018年4月に放送の「クローズアップ現代+」を巡り、日本郵政グループがNHKに抗議。同10月の経営委で、委員長代行だった森下氏が取材を「極めて稚拙」と述べ、経営委は上田良一会長(当時)を「ガバナンス強化」名目で厳重注意した。
こうした経緯は19年9月、朝日新聞などの取材で判明。NHKの執行部や経営委は自ら明らかにしてこなかった。放送法は経営委員の番組への介入を禁じ、議事録の作成と公表を委員長に義務づけているが、森下氏は、介入を否定し、議事録を出すことを拒み続けた。
21年6月、市民ら約100人が議事録などの開示を求め、東京地裁に提訴。翌月、NHKは録音データを元に会議の内容を逐語的に記録した文書を開示請求した報道機関などに開示した。
今年2月の地裁判決は、文書は内容の正確性が確認できていない「粗起こし」と指摘。正式な議事録は存在しないとして開示請求は棄却する一方、NHK側が削除したと主張していた録音データの存在を認め、開示を命じた。NHKが開示義務を怠り、森下氏は開示措置を取らなかったとし、賠償も命じていた。
森下氏「これ以上続けても仕方がない」
和解について、NHK執行部…