NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国人の外部スタッフの40代の男性が、沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」などと原稿にない発言をした問題を巡り、NHKは10日、調査報告書をまとめた。放送直前にこの男性が靖国神社の落書きのニュース原稿を読むことに抵抗感を示していたことが明らかになった。この問題を受け、国際放送担当理事が9月10日付で辞任するなどと発表した。
発表によると、男性は問題のあった8月19日の放送前の打ち合わせで、靖国神社で落書きが見つかり、警視庁が器物損壊事件として捜査しているというニュースについて、「NHKの原稿はあいまいで、あいまいなものをそのまま翻訳して中国語で放送したら、個人に危険が及ぶ」「NHKはその責任をどう考えるのか」などと、声を荒らげて、強く反発していたという。
その後、ラジオ国際放送などでの生放送で、靖国神社の石柱に落書きがあったニュース原稿を読む中、20秒ほど原稿にはない発言をした。中国語で「釣魚島と付属の島は古来中国の領土です」と述べ、英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言した。
NHKは、調査報告書で、今回の事案について「放送の乗っ取り」とも言える事態だとし、「同局が自ら定めたNHK国際番組基準に抵触するなど、NHKが放送法で定められた担うべき責務を果たせなかったという極めて深刻な事態」という認識を示した。
また「事前に兆候について…