「やっと1回、僕が上回ることができた」

 今季、麻雀(マージャン)のプロリーグ「Mリーグ」で個人スコア賞(MVP)の獲得が決まったパイレーツ・鈴木優(42)は、ほっとしたような表情で、うなずきながらつぶやいた。

鈴木優=前田健汰撮影

 ずっと負けていた相手、それは15年前、地元で経営していた麻雀店にいた「弟子」のことだ。当時、雀荘経営に専念していた「師匠」の鈴木。もう一度プロを志すきっかけになったその人の名は、魚谷侑未(38)という。フェニックスに所属し、Mリーグ2年目にMVPを獲得したトッププロだ。

 2人の出会いは突然だった。

 15年前のある日、SNSを通じてメッセージが届いた。

 「最強戦を見ました。鈴木さんの麻雀(マージャン)が自分の目指す麻雀にとても似ているので、教えて欲しいです」

 会ったことのない「弟子」から熱いメッセージを受け取っていなかったら。それに応えていなかったら。

 Mリーグで躍動する鈴木を見ることはできなかったかもしれない。

鈴木の経営する愛知県豊橋市の雀荘で、新潟出身の魚谷は働くことになった。メモを取り、質問を浴びせる魚谷の成長と、再びプロの世界に舞い戻った鈴木。麻雀に人生をかけた2人の物語を追いました。

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 鈴木は一度、麻雀プロをやめ…

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