チャンスは一度きりじゃない。漫才日本一を決めるM―1の1回戦は、負けてもやり直せる。勝利の女神が4度目にほほ笑むことだってある。
NSC(吉本興業の芸人養成所)に通う、その他しょうたろうさん(23)。嘉津(かつ)じゃない方さん(24)とコンビ「部外者」を組んで予選に出た。
キタの寿司屋、ミナミの居酒屋でアルバイト
その他しょうたろうさんは、大阪・キタのすし屋で。嘉津じゃない方さんは大阪・ミナミの居酒屋で。2人とも夜アルバイトをしている。
すし屋の客には、会社の社長もいる。客におしぼりを手渡す手順から飲み物を置く位置まで、細かく気を配る。「社会的身分が高くてお金持ってる人ばかり来られる。僕はお金持ってへんのに。いつか芸人として成功したら、客としてすし食いに行ってふんぞり返りたい」(その他しょうたろうさん)
嘉津じゃない方さんの居酒屋には、ミナミの歓楽街の人たちが来る。接客はノリが大事。深夜、客としてやってくるホストたちからムチャぶりされる。「何か面白いことやってよ」
引き下がれば芸人の卵の名がすたる。「立ち向かわんと」「いつか稼いだる」。パンパンに膨らんだ客の財布を横目に誓う。
芸の道は、険しく、見通しにくい。まだ20代だが「いうてる間に40代になって、まだ売れてへんかったら……」。
M―1に出たのは将来のため。勝ち上がれば、成功への近道になる。
生き残った「部外者」
ただ、ライバルは1万組以上いる。
数をこなす戦法に出た。複数回出場する方法があるから。
ストレートで勝ち上がる人は一握り。不利な勝負でも、方法を変えれば風穴が開く⁉ 持ち札を最大限生かす戦い方を考えます。
相方を替えて別のコンビとし…