記者会見で自身らの体験について語る中村中さん(右)と水越とものりさん=20日、東京都千代田区

 「トランスジェンダー追悼の日」とされる20日、97人の映画監督が連名で、性的少数者への差別に反対する声明を発表した。同日には都内で記者会見が開かれ、発起人の監督や当事者の俳優が、映画界や社会に見られる偏見の実情を訴えた。

 バイセクシュアルを公言し、性的少数者を巡る作品を手がけてきた東海林毅監督や、「淵に立つ」などで知られる深田晃司監督ら8人が発起人。山中瑶子監督や清原惟(ゆい)監督ら89人が賛同した。

 声明文には、「映画作品内において偏見や差別に晒(さら)されている少数派の人々を描く際には細心の注意が必要であると考えます」とした上で、「映画作品がLGBTQ+の人たちを社会から排除することに加担してはなりません」とつづられている。

 この日の会見で東海林監督は、SNSを中心に性的少数者、特にトランスジェンダーへの差別的な言説が近年増えていることに懸念を抱き、声明を出したと語った。「今こそ差別への反対と連帯の姿勢を示すことが重要だ」

 賛同人を映画監督に絞ったのは、「時に性的マイノリティーの表象を扱う映画作品の内容に大きな責任を負っている。差別や偏見に自覚的でなければならない」と説明する。

撮影現場で傷ついた体験語る

 会見には性的少数者だと公言している2人の俳優が同席。撮影現場などでの体験を語った。

 トランス女性であると公表している中村中さんは、「女装をしている男性役」をオファーされたことがあるという。断ったら、トランス女性役に変えると言われ、オファーを引き受けた。「しかし、台本を見るとその役は『化粧を落としたら醜い』『男性よりも力が強い』といった設定だった」「性的少数者を笑ってもいい対象として扱っていると感じた」と振り返る。

 撮影現場で傷ついたこともあ…

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