JR東日本は、利用客が特に少ない赤字ローカル線の2023年度収支を公表し、山形県関係では6路線11区間が対象となった。赤字総額は145億5800万円となり、うち22年度と比較できる5区間で赤字額が膨らんだ。
1日1キロあたりの平均乗客数(輸送密度)が2千人未満の線区の収支について、JR東が10月末に公表。36路線72区間が対象となり、区間別の赤字額は羽越線の村上(新潟県村上市)―鶴岡の49億6800万円が最も多く、22年度比で2200万円増となった。
前年度より収支が悪化した県関係の他の4区間の赤字額は、左沢線の寒河江―左沢(山形県大江町)4億100万円(8300万円増)、奥羽線の新庄―湯沢(秋田県湯沢市)15億8100万円(1800万円増)、陸羽東線の鳴子温泉(宮城県大崎市)―最上4億3900万円(3千万円増)、同線の最上―新庄5億6200万円(4900万円増)。
一方、2区間は赤字額が前年度より減少し、羽越線の酒田―羽後本荘(秋田県由利本荘市)28億500万円(1億3600万円減)、米坂線の米沢―今泉(山形県長井市)5億3900万円(8400万円減)となった。
「100円の運輸収入を得るのに要した営業費用」を表す営業係数も公表され、県関係では鳴子温泉―最上の1万3465円が最も多かった。
22年8月の豪雨で被災した米坂線は今泉―坂町(新潟県村上市)で運休が続いており、代行バス輸送の収支が示された。赤字額は今泉―小国が4億8100万円、小国―坂町が3億4千万円だった。
米坂線をめぐっては山形、新潟両県の自治体が復旧を求めている。JR東は同社単独での運営を前提とした復旧は難しいとの見解を示し、乗客をどのように増やすかが復旧に向けた焦点の一つになっている。(坂田達郎)