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脱線したJR貨物の列車15両目=JR北海道提供
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 16日午前1時40分ごろ、北海道森町のJR函館線森駅―石倉駅間で、名古屋貨物ターミナル駅発札幌貨物ターミナル駅行きJR貨物の貨物列車が脱線した。この影響で、JR北海道は函館線森駅―長万部駅間の普通列車と特急北斗の函館駅―洞爺駅間で上下線とも終日運休。札幌と函館を結ぶ列車ダイヤが大きく乱れ、復旧のめどが立っていない。

 JR北とJR貨物によると、脱線した貨物列車は機関車1両とコンテナ貨車20両の計21両編成。函館線の鷲ノ木道路踏切付近を走行中、後部が引っ張られる感覚があり非常停止した。運転士が確認したところ、貨車5両が脱線し、最後尾の貨車は約30メートル分離していた。脱線は停車位置から約600メートル離れた同踏切付近から発生した跡があった。乗員を含め、けが人はいないという。

 貨車は食品や工業製品などを運んでいて、過積載は確認されていない。脱線地点を約15分前に下り列車が走行した際は異常はなく、脱線の原因はわかっていない。

 事故を受けて国の運輸安全委員会は同日、調査官を現地に派遣した。脱線列車は調査を経て、現場保全の解除後に移動させるという。その後、線路の復旧工事と安全確認が必要となるため、通常運行が開始できる時期のめどは立っていない。

 JR北は17日以降、運休区間のバス代行を検討しているという。脱線を受けてJR北は会見を開き、島村昭志・鉄道事業本部長は「お客様にご迷惑をおかけしていることおわび申し上げます。大変申し訳ありません。運輸安全委員会の調査に最大限協力し、なるべく早く運転再開したい」と謝罪した。

 JR貨物では9月、貨物列車の車軸に車輪などをはめ込む作業で、圧力の検査データを改ざんする不正が発覚したばかり。JR貨物によると今回の脱線車両の先頭にあたる12両目の車軸は、不正発覚後に交換したものではなかったという。その他の車軸を含め、不正との影響を調べるとしている。(佐々木洋輔)

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