ロアッソ熊本戦でゴールを決め、喜ぶ落合陸選手(手前)=水戸市のケーズデンキスタジアム水戸、水戸ホーリーホック提供

 サッカーJ2の水戸ホーリーホックがもがいている。クラブ創立30周年の今季、初のJ1昇格を掲げながら、逆に初のJ3降格が現実味を帯びるほど勝てない。危機的状況を打破すべくクラブは4日、監督解任という荒療治を敢行。すると2日後の6日には開幕戦以来となるホーム2勝目、通算3勝目をあげ、降格圏からひとまず脱した。正念場が続く。

 ホーリーホックは6日、ケーズデンキスタジアム水戸でロアッソ熊本を迎え撃ち、2―0で快勝した。後半開始ほどなく黒川淳史選手がゴールを決め、終盤に落合陸選手の加点で突き放した。2月24日の開幕戦以来のホーム戦でもぎ取った勝ち星。地元サポーターたちは久しぶりに溜飲(りゅういん)を下げ、勝利の美酒に酔った。

 これで今季の通算成績を3勝5分け6敗とし、順位は20チーム中16位(6日時点)。J3降格圏(18~20位)の19位から浮上した。

 その2日前、ホーリーホックは成績不振を理由に浜崎芳己監督を解任したばかり。ロアッソ戦は森直樹コーチが暫定的に指揮を執った。

 浜崎氏は日本代表U―15やU―17コーチなどを経て2021年、ホーリーホックのヘッドコーチに迎えられ、23年から監督に就いた。

 解任に際して西村卓朗ゼネラルマネジャー(GM)は「J1昇格という目標を掲げてきたが19位(解任時点)という事態を重く受け止めています。まずは現実的にJ2残留をめざして、ありとあらゆるリソースを注ぎ込み、現状を変えていきたい」とのコメントを出した。

 監督解任の大ナタが起爆剤となり、反転攻勢の足がかりとなるか? 次戦は12日、モンテディオ山形戦。アウェーのNDソフトスタジアム山形へ乗り込む。(中村幸基)

 サッカーJ2水戸ホーリーホックは2023年度(23年2月~24年1月)の決算で総売上高が過去最高を記録する一方、観客動員数は目標に届かなかった。

 総売上高(営業収入)は約11億413万円で、前年度の約10億2458万円から7・8%増え、最高を更新した。純利益は約555万円で、前年度の約623万円に続いて2年連続の黒字決算となった。

 入場料収入が前年度比20・9%増の約1億874万円、広告料収入は同13・2%増の約5億7445万円、物販収入は同22・2%増の約9546万円で、広告料収入と物販収入は過去最高。入場料収入もケーズデンキ・キッズパスポート(1千万円)を含めると過去最高だった。入場料収入はチケット単価の値上げと無料招待客の抑制が功を奏した。広告料収入はスポンサー企業の増加が寄与した。Jリーグ分配金は前年度比36・5%減の約1億205万円だった。

 ただ、ホームのケーズデンキスタジアム水戸の来場者数は1試合平均3726人で前年度を586人上回ったものの、目標の4500人は達成できず。J2の平均は6904人という。4月26日に記者会見した小島耕社長は「目標にほど遠かった。一人でも多くご来場いただけるよう働きかけたい」と話した。

 また、28年度完成をめざす新スタジアム建設計画について、小島耕社長はこれまで掲げていた「民設」から、「公設」を視野に入れた建設方法に切り替える考えを示した。

 小島社長は「19年に民設民営でのスタジアム建設構想を発表したが、昨今の建設業界の資材コストや人件費の高騰を鑑みると、(民間資金で建設する)民設が現実的ではない状況」と説明。さらに「茨城県や、水戸市を中心とするホームタウン市町村と協議を重ねながら、(公的資金を投入する)公設を視野に入れた建設方法に切り替えたい。資金調達状況などに合わせて段階的な建設を検討せざるを得ない」と述べた。(中村幸基)

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