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お酒の産地名を独占的に名乗ることができる「酒類の地理的表示」という国の制度がある。兵庫県伊丹市の「伊丹」の地名が新たに清酒の地理的表示の一つに指定され、記念発表会が開かれた。
伊丹の酒造りは江戸時代に始まり、清酒発祥の地の一つとされる。現在は、1550年創業の小西酒造と1688年創業の伊丹老松酒造の2社が清酒を造っているが、最盛期の1800年代には80ほどの酒蔵があったという。「酒造りは灘五郷よりも伊丹が先に発展しました」と市立伊丹ミュージアムの新宮由真学芸員は話す。
酒類の地理的表示は、海外で取引されてきたワインの原産地呼称制度が起源。世界貿易機関(WTO)加盟国の義務とされ、国内では1994年に国税庁が基準を定めた。「清酒」については2005年以降に全国の19産地を指定。兵庫県内では「灘五郷」「はりま」に続いて昨年11月に「伊丹」が加わった。
指定を記念して18日に伊丹市で発表会が開かれ、地元経済界などから約100人が集まった。
伊丹酒造協同組合代表理事で小西酒造の小西新右衛門社長は「この制度は国内にとどまらず、海外に大きなインパクトがある。『伊丹の日本酒』が世界に打って出るときに、大きなプラスになると確信しています」と期待を述べた。
産地が指定されると、産地外で造られた酒や、生産基準を満たさない酒は、産地名の表示を禁じられる。発表会であいさつした大阪国税局の木村秀美局長は「地域ブランドの確立による他の製品との差別化、消費者の信頼性向上という効果があります」と説明した。
生産基準を満たした認定酒には、「地理的表示」や英語の「Geographical Indication」、略称の「GI」と記載される。「GI伊丹」には伊丹市内2社の計5銘柄の清酒が認定されている。