関西弁での演劇公演を大事にしてきたiakuが、「流れんな」の再演にあたり、舞台も言葉も広島に移した。役者もほとんど広島出身で、広島でも上演する。作・演出の横山拓也と全出演者が、演劇と広島を語った。
港町で食堂を営む父が入院した。料理の貝から毒が見つかり、店は休業へ。父を手伝っていた長女の睦美に、次女の皐月が夫の翔と一緒に会いに来る。睦美の幼なじみの司や食品会社の駒田も交え、それぞれに暗雲が立ちこめる――。今作は、そんな筋書きだ。
――2013年の初演は関西が舞台でした。今回はなぜ広島に。
横山 4、5年前に広島出身の異儀田夏葉さんが出る再演の企画を立ち上げました。その後、広島とのつながりがどんどん深くなっていき、広島にした方がもっと土着的な匂いが立ち上がるんじゃないかなあと。
――広島との縁は。
横山 2018年からほぼ毎年、広島市の公共ホールのアステールプラザで、演劇学校というワークショップの講師として関わらせていただいてます。宮地綾さんという女優と出会ったり、去年のプロデュース公演のオーディションに松尾敢太郎君が来てくれたり、広島の若い演劇人と交流ができることになって。広島だけじゃないです、いろんな地域にいる優れた俳優たちは、いろんな都市で認識されるべきです。(今回の公演は)小さいけれども、広島への還元になるかと思って。
今村裕次郎さんも広島出身です。近藤フク君はiakuの公演に何度か出ていて、単身赴任で来る標準語の役にしようと。
――生まれ育ちなど広島との関わりは。今作の役は。
異儀田 3歳ぐらいまで廿日市市に住んでいて、父の転勤で埼玉に越しました。ルーツが広島っていう感覚はずっとあって。やっぱり広島生まれって、被爆した都市であることで、印象がつくんですよね。だから反戦といったことを扱うお芝居をできれば広島でやりたいなって、いままでもずっと考えてました。
睦美は、広島の港町から出ら…