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100年をたどる旅~未来のための近現代史~③「持たざる国」の素顔

「DIME」という安全保障のキーワードがある。
今回はこれを切り口に、「持たざる国」日本がたどってきた100年の歩みを考える。

 国内総生産(GDP)は1940年代に生まれた。資源や物資など戦争を遂行できる生産力がどれだけあるか正確に把握する指標として、米英が開発した。「第2次世界大戦が生んだ数多くの発明品の一つ」と英ケンブリッジ大のダイアン・コイル教授は位置づける。

 世界に占める日本のGDPは、百年前と同じ水準に逆戻りしている――。英国の経済学者アンガス・マディソン氏の研究チームは、西暦1年から今に至る世界各国のGDPを歴史資料から推計してきた。そこから浮かび上がってきたのは、そんな日本の姿だ。

 日本のGDPの世界全体に占める割合は1920年は3・4%。それが戦後の経済成長で急伸。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと称された。米国の地位をも脅かす経済力を誇った90年には8.6%に上昇した。

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上位20カ国。マディソン氏の研究チームの最新の推計結果から。1920年の中国はデータが無いため、1900年で代用。1920、90年のロシアは旧ソ連のデータを使用。ソ連以外は現在の国旗
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 だが、その後、中国をはじめとする新興国の経済成長が加速。日本は人口減社会に突入して主要7カ国(G7)で唯一足踏みを続け、2022年には3・7%に落ち込んだ。歴史的な「定位置」に戻ったともいえる。

 現在の日本のGDPは世界4位。米ゴールドマン・サックスによれば、さらに50年に6位、75年には12位へ転落が予想される。日本は近い将来「経済大国」の看板を下ろすことになるかもしれない。

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問われるDIMEの発想 軍事以外が軽視されていないか

 一方、岸田政権は一昨年末、27年度の防衛費のGDP比を倍増させ、2%にすることを決めた。27年度の防衛費は世界5位内に入り、「軍事大国」に仲間入りする可能性がある。

 問題は、この歴史的増額が果…

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