実力が拮抗(きっこう)したライバルに打ち勝ったり、「番狂わせ」を起こせたりするのはどんなときか――。NTTコミュニケーション科学基礎研究所の研究チームは、試合前の脳波で勝敗を精度よく予測できたとする成果を発表した。

 チームは、全身運動を伴わないため、脳波が計測しやすいとしてeスポーツの格闘ゲームに着目。熟練の選手20人に協力してもらい、試合直前や試合中の脳波を計測した。1ラウンド先取制で試合を行い、約3200試合分の脳波と勝敗のデータをAI(人工知能)に学ばせた。

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eスポーツ国際大会「EVO Japan 2019」に集まった人たち=2019年、福岡市

 その結果、試合直前に、β(ベータ)波という集中状態を保ちやすくする脳波が増大していると、試合に勝ちやすいということがわかり、勝敗を約8割の精度で予測できた。

 過去の試合情報から勝敗を予測する従来のモデルでは、番狂わせを予測することはできなかったが、脳波を学習したAIは、実力が拮抗した選手との試合結果や、前評判とは勝敗が逆転する番狂わせも約8割の精度であてることに成功した。

 また、チームは一発勝負では…

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