試合前の練習でバットを握る横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智=2024年5月6日、横浜スタジアム、安藤仙一朗撮影
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 (6日、プロ野球 横浜DeNAベイスターズ6―5東京ヤクルトスワローズ)

 名前がコールされるだけでも、平凡なフライを捕球しただけでも、大きな拍手が起きる。大型連休最終日の6日。「6番・左翼」で先発し、1673日ぶりに本拠へ戻ってきたDeNA・筒香嘉智に、ファンは釘付けになった。

 盛り上がりが最高潮に達したのは2点を追う八回2死一、二塁で回ってきた第4打席だ。「まだ点差があったので、強い打球を、と思っていた」。初球を引っ張り、右翼席へ届けた。逆転3ラン。地鳴りのような歓声のなか、右手を突き上げてダイヤモンドを回った。

 先月20日の2軍戦で実戦に復帰した。だが、計6試合で17打数3安打、長打はなし。にもかかわらず、6日と8日の2試合は立ち見席が名前にちなんで225(ツツゴー)円になるキャンペーンが組まれていた。1軍昇格が既定路線だったなか、大仕事をやってのけた。

 チームは昨季、最終戦に敗れ2位を逃した。今季も、勝率5割復帰がかかった5試合で1分け4敗。勝負どころに弱い戦いぶりが続いてきた。

 筒香の一振りで4月14日以来の勝率5割復帰を決め、三浦大輔監督は「さすが、やってくれたね」とほおが緩む。「存在自体で(他の選手が)学べるものがいっぱいある」と背番号25への称賛を惜しまなかった。

 筒香が入団会見で繰り返し語っていたのは、「プレーヤーとして一つのポジションを取りにいく」という覚悟。そして期待が両肩にのしかかる復帰戦で結果を出す、勝負強さ。チームに欠けていたものを埋める最高のピースが、横浜に帰還した。(安藤仙一朗)

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