フランス北西部ノルマンディーで2024年6月6日、激戦地のオマハビーチで開かれた記念式典で演説するフランスのマクロン大統領=ロイター
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ブレット・スティーブンス

 第2次世界大戦の「ノルマンディー上陸作戦」から80周年となる6月6日の記念日(Dデー)は、大西洋の同盟の運命をめぐって陰鬱(いんうつ)で不安な思いを抱かせる日になった。陰鬱になるのは、大戦で従軍した「最も偉大な世代」の最後の生存者たちが、じきに私たちのもとを去ってしまうからだ。不安になるのは、ドナルド・トランプ前大統領と彼の北大西洋条約機構(NATO)に対する明らかに見下した態度が、私たちの前に再び現れるかもしれないからである。

 その不安には、見当違いな一面もある。トランプ氏の攻撃的な米国ナショナリズムは、多くの理由から恐ろしい思想だ。特にひどいのは、米国と同盟を結ぶ力の弱い国や地域を、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や中国の習近平(シーチンピン)国家主席が標的にするのを後押ししている点である。しかし、トランプ氏はまた、欧州の人々が切実に耳を傾けるべき警告を伝える使者でもある。

 一言で言えば、しっかりしろ、ということだ。

 いま欧州は、四つの大きな課題に直面している。いずれも、強国の運命を決定づける典型的なものである。ざっと見てみよう。

成長とダイナミズム

 1960年、現在の欧州連合…

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