Repression Intensifies in the Country Hosting a Major Climate Meeting

 世界が注目する国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)の開催を11月に控えたホスト国のアゼルバイジャン政府は、この数カ月間、ビルの外観改装やボランティアの訓練、数万人の代表者を受け入れるためのスタジアムの改修工事など、集中的に準備を進めてきた。

 コーカサス山脈一帯に位置し、エネルギー資源に恵まれるこの国ではまた、政府による不穏な動きも加速している。識者らが近年で最も攻撃的な弾圧キャンペーンと指摘する動きの中で、すでに数十人の活動家やジャーナリストが投獄されている。

 COP29を前にアゼルバイジャンの強権的指導者であるアリエフ大統領(62)が、国際的なプレッシャーを感じ、自国を政治的に開かれた国としてアピールするだろうと予想していた識者らは、昨年から相次ぐ逮捕劇に驚いている。それどころか、アリエフ大統領は国内にわずかに残された自律的な市民社会や自由な報道の息の根をとめようとしているように見える、と人権監視団体や政治アナリストたちは指摘する。

 「長い間、この国ではこのような弾圧は見られなかった」と、ドイツ外交問題評議会でアゼルバイジャンをはじめとする旧ソ連地域を研究するシュテファン・マイスター氏は指摘する。「COP(開催)をめぐる批判につながる可能性の完全な排除」を狙ったと見られる逮捕もある、と同氏は語る。

 人権監視団体などによると、逮捕された人たちの中には、少なくとも三つの著名な独立系メディアのジャーナリストが12人以上含まれているという。また、気候サミットをてこに、政府に対して人権侵害の改善や温室効果ガス排出の削減を求めるため、今年2月に「気候正義イニシアチブ[the Climate Justice Initiative]」を共同設立してから数週間後に逮捕されたアナル・ママドリ氏ら著名な活動家も含まれているという。

 アリエフ大統領は、一連の逮捕に対する国際的な批判を、「気候変動の悪影響を抑えようとする我々の崇高な使命」から注意をそらすための「中傷キャンペーン[smear campaign]」と一蹴している。当局は逮捕の理由として、金融犯罪や、非政府組織に関するアゼルバイジャンの厳格な法規への違反を挙げている。

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

COP29の開催国となったアゼルバイジャン。2003年から大統領の座にあるアリエフ氏は、1993年から10年間、大統領を務めた前任者の長男で、いわば世襲です。

 「ジャーナリストや市民社会…

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