アゼルバイジャンの首都バクーで開催されている国連気候変動会議(COP29)で12日、同国のアリエフ大統領が、欧米メディアや欧米諸国を「偽善」「ダブルスタンダード」などと激しく非難する一幕があった。石油ガスの産出国でもあるアゼルバイジャンが、脱化石燃料を議論するCOPの議長国であることを不安視する声が欧米を中心に出ていたことに「猛反撃」した形だ。
各国首脳が集まり、自国の温室効果ガス削減目標などを宣言する場で、アリエフ氏は議長国として最初に登場。自国の再生可能エネルギーの導入状況を紹介した後、「気候変動の会議ではあまり人気がないことは理解しているが、石油とガスについて少し話したい」と話題を転換。議長国としての力量を懸念する欧米メディアを「フェイクニュース」だと批判し始めた。
さらに、「欧米の偽メディアや独立系NGOと呼ばれる人々、一部の政治家」を念頭に、「私たちは、組織的な誹謗(ひぼう)中傷と脅迫のキャンペーンの標的になった」と主張。脱化石燃料の動きをリードする欧州の国々に対しては、アゼルバイジャンからガスを購入していると指摘し、「ダブルスタンダード」などとこき下ろした。
アリエフ氏は、父親の後を継いで2003年に大統領に当選し、現在5期目。11日の開会式では、議長を務める同国の環境・天然資源相が「世界のために団結して前進を」と呼びかけるなど、交渉を前に各国の協力の重要性を確認したばかりだったが、議長国の大統領自らが、結束にひびを入れかねない「口撃」を繰り広げた。(バクー=市野塊)