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大久保愉一被告

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性(当時51)を依頼に応じて殺害したなどとして、嘱託殺人や殺人などの罪に問われた医師・大久保愉一(よしかず)被告(46)の控訴審判決で、大阪高裁(長井秀典裁判長)は25日、懲役18年とした一審・京都地裁判決を支持して被告側の控訴を棄却した。「被害者の意思を見極めておらず、社会的な相当性は認められない」と判断した。

 大久保被告は、知人の元医師・山本直樹被告(47)=殺人罪で懲役13年が確定、嘱託殺人罪は審理中=とともに①2011年に長期入院していた山本被告の父(当時77)を転院を装って退院させ、何らかの方法で殺害②19年に女性から依頼を受け、胃に直接栄養を送る「胃ろう」に薬物を入れて殺害した――などとする罪に問われた。

 弁護側はいずれも無罪を主張し、②について憲法13条が保障する自己決定権は「自分の最期を決める権利」も含み、被告の行為は罪に問えないと訴えたが、地裁は罪に問わないのは治療や説明を尽くした場合などに限られると判断。診察もせずに行為に及んだとして、罪の成立を認めた。

 控訴した弁護側は、「日本に…

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