大阪地裁・高裁が入る庁舎=大阪市北区

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性(当時51)を依頼に応じて殺害したなどとして、嘱託殺人などの罪に問われた元医師・山本直樹被告(47)の控訴審判決で、大阪高裁(坪井祐子裁判長)は13日、懲役2年6カ月とした一審・京都地裁判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。実行役との「黙示の共謀があった」と判断した。

 山本被告は知人の医師・大久保愉一(よしかず)被告(46)=同罪などで公判中=と共謀して2019年11月、京都市の女性を薬物で死なせたとする罪に問われた。

 高裁は証人出廷した大久保被告が殺害計画を「事前に山本被告に説明しなかった」と証言したことを踏まえ、地裁が明示的な共謀を認めた部分は否定した。一方で、大久保被告が殺害行為を隠さなかったことや両被告とも偽名を使っていたことなどから「計画を察知していた」と指摘。「黙示の共謀」を認め、「頼まれて同行しただけで、殺害計画は知らなかった」との無罪主張を退けた。

 23年の地裁判決は、「大久保被告があえて同行させた山本被告に目的を伝えず殺害したとは考えがたい」と共謀を認定していた。

 山本被告は11年の父(当時77)への殺人罪にも問われ、昨年7月に最高裁が上告を棄却し、懲役13年とした京都地裁判決が確定している。

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