記者の質問に答えるデミス・ハサビス氏=2024年11月21日、東京都港区、嶋田達也撮影

 12月10日に授賞式が開かれる今年のノーベル賞は、物理と化学の2賞がAI(人工知能)研究に贈られる。科学界に「AIの時代」が訪れたことを意味する一方、ノーベル委員会はリスクへの警鐘も忘れなかった。

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 「AIやAGI(汎用人工知能)は、人類がこれまで手にした中で、最も有用なテクノロジーになる可能性がある」

 11月20日に都内で開かれた慶応医学賞の授賞式。英グーグル・ディープマインドCEO(最高経営責任者)のデミス・ハサビス博士(48)は、AIがもたらす影響の大きさについてこう語った。

 ハサビス氏は、たんぱく質の立体構造を精度よく予測するAIソフト「アルファフォールド(AF)」シリーズを2018年から相次いで発表。ひも状に連なったアミノ酸がどのように折りたたまれるのか、という50年来の科学の難問を解決に導く成果を出した。今年のノーベル化学賞を受賞する。

 ノーベル委員会は10月の発表で「科学研究の新時代を切り開く成果だ」と評価した。

 物理学賞は、1980年代に基礎が築かれた機械学習というAI研究そのものに初めて贈られる。

「科学の変化を認める。さすがはノーベル賞」

 受賞者の一人、カナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授(76)は、その後の2012年の論文で「深層学習(ディープラーニング)」を用いてAIの画像認識を飛躍的に向上させられることを示した。「AIの父」とも称される。

 AIのダブル受賞は何を意味するのか。

 政府のAI戦略会議の座長を…

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