エネルギー政策の見直しの議論が5月に始まり、にわかに注目を集めているのがAI(人工知能)と電力の問題だ。AIが脱炭素に役立つ可能性がある一方、需要の爆発で電気が足りなくなるとの予想も。なぜAIは多くの電力を使うのか。技術で解決できるのか。

 5月13日に首相官邸で開かれたGX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議で、岸田文雄首相はAIの産業活用が重要だと強調した。あわせて「原発数基分の脱炭素電力を必要とするAIデータセンター構想が次々と発表されている」と急増する電力需要に触れ、脱炭素との両立を訴えた。

 AIは、輸送システムや電力供給の効率化、太陽光発電や蓄電池に使う材料の開発など、気候変動対策への活用が期待されている。

 一方で、AIは人間の脳神経のつながりをまねた複雑な「ニューラルネットワーク」を用いるため、答え(出力)を得るために必要な計算量が通常のコンピュータープログラムより大きい。

 さらに、2012年以降、複雑さを増した「ディープラーニング(深層学習)」が進展。生成AIなど高度な機能が実現してきた半面、計算量や電力消費量が激増している。

 国際エネルギー機関(IEA…

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