神里達博さん

神里達博の「月刊安心新聞+」

 先週、米国の半導体メーカー「エヌビディア」が時価総額で世界の首位に立ったと報じられた。週末にはまた逆転し、トップはマイクロソフト、次がアップルで、エヌビディアは3位となったが、しばらくは「三つどもえ」の状態が続くと思われる。

 昨年末までは、アップルとマイクロソフトの2社がトップを争い、前者が優勢という状況だった。だが今年に入ってからはマイクロソフトが優位に立ち、さらにエヌビディアが2兆ドルも時価総額を高め、3兆ドル超え企業によるトップ争いに参加する格好となった。これを現在の円相場で換算すると、1社で500兆円の水準となる。それぞれが、日本最大の企業・トヨタ自動車の、ほぼ10倍に相当するのだ。

 さて、この分野に詳しい読者ならばご存じかもしれないが、マイクロソフトやアップルに比べるとエヌビディアの知名度は、一般的にはまだそれほどでもないように思う。

 この企業は元々は、「GPU」と呼ばれる画像処理専用の半導体チップを搭載した「グラフィックボード」のメーカーとして有名だった。これはパソコンのパーツの一種であり、ゲームや動画編集など、高速の画像処理が必要な場合には不可欠だが、普通のビジネスやウェブ閲覧などに使うだけなら、なくても特に困らない。そのため計算の要の半導体であるCPUのメーカーなどと比べると、地味な存在だったと言える。

 そんなエヌビディアがなぜ世…

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