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イスに座って監視する警備員=セキュリティ庄内提供
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 警備の現場でイスに座って業務する動きが広がっている。働き手の負担軽減が目的で、企業にとっては人材の定着にもつながっているという。立って対応という、これまでの「当たり前」の光景が変わりつつある。

 山形県酒田市内の道路。工事現場の手前に置かれた「工事車両出入口」の看板の近く、男性警備員が工事車両の誘導のため配置されていた。ちょっと違うのは、持ち運べる伸縮式の携帯イスに腰掛けていたことだ。立って誘導するが、車が来ない時など立つ必要がない場合にときどき座る。

 道路の工事現場で誘導や監視などを担う警備会社「セキュリティ庄内」(山形県)は、3年ほど前に警備にイスを導入した。長時間立つのが当たり前で負担が大きいといった警備のイメージを変えることや退職者を減らす狙いがあった。

 というのも、同社が過去10年の退職者を分析したところ、25%ほどが体力や健康を理由に挙げていた。腰痛が原因という人もいた。体の負担を減らす取り組みが必要だった。

 イスの導入で、従業員からは「疲れにくくなった」「腰痛が緩和された」と喜ぶ声が上がる。

 ただ現在、イスを使うのは全…

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