写真・図版
津波避難訓練に同行する矢守克也教授(中央)。スマートフォンの画面で、現在地と津波の浸水想定区域を確認した=2016年12月、高知県須崎市、遠藤真梨撮影

 阪神・淡路大震災から30年、この地震大国で被災地から何を学び、次にどう備えればいいのでしょうか。防災教育に長年取り組み、「ふだんとまさかの二刀流」を提唱する京都大学防災研究所教授(防災心理学)の矢守克也さん(61)に聞きました。

やもり・かつや 1963年、大阪府豊中市出身。奈良大助教授などを経て2009年から現職。国や自治体の専門家会議メンバーも歴任。近著に「避難学 『逃げる』ための人間科学」(東京大学出版会)。

 新たな災害は、いつも「新しい顔」で襲ってきます。阪神、東日本、熊本、能登……激震か津波か、都市か地方か。過去の経験と異なる想定外の出来事が必ず起き、マニュアルだけでは対応できない事態に直面する。防災対策に、あらかじめの正解はありません。

■ゲーム教材「クロスロード」の真価とは

 阪神大震災の時、避難所の運営にあたった神戸市職員らの体験を聞き取りました。避難者の数に足りない食料を配るべきか、ペット連れの人を受け入れるべきか、いくつも難問があった。ある職員の言葉が強く印象に残りました。「正解は、その時その場でみんなでつくるしかない」と。

 そして考案したのが、当時の…

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