介護施設の職員らによる高齢者への虐待は、2023年度に1123件(前年度比31.2%増)となり、06年度の調査開始以来で最多となった。厚生労働省が27日、調査結果を公表した。同省は背景に職員の知識不足などがあるとみて、同日付で施設関係団体に対策の徹底を図るよう要請した。
調査結果によると、23年度に介護職員から虐待を受けたと確認された高齢者は計2335人。うち約7割の人が要介護度3以上だった。5人の死亡が確認された。
虐待の内容(複数回答)を詳しくみると、最も多かったのは「身体的虐待」で51.3%、次いで「心理的虐待」が24.3%、「介護等放棄」が22.3%だった。施設別では、特別養護老人ホームが352件(31.3%)で最も多く、有料老人ホームが315件(28.0%)、グループホーム156件(13.9%)と続いた。
家族などの養護者による虐待は、近年横ばい傾向が続く。23年度は前年度比2.6%増の1万7100件が確認され、2年連続で増えた。虐待が確認された1万7455人のうち、27人が亡くなった。中には殺人や心中未遂も含まれる。
施設関係団体に防止措置の徹底要請
虐待した人と2人で暮らして…