野村良太の山あり谷あり大志あり:18
2022年に前人未到の北海道分水嶺(ぶんすいれい)積雪期単独縦断を達成し、28歳で植村直己冒険賞を受賞した道内の山岳ガイド野村良太さんのコラム(紙面は北海道支社版掲載)です。
冒険研究所書店。神奈川県大和市の小田急江ノ島線・桜ケ丘駅東口から徒歩30秒にある。北極冒険家、荻田泰永さん(47)の書店だ。荻田さんは2000年~19年の20年間で計16回、北極圏を踏破した。距離にして計1万キロ以上に及ぶ。
1年前に初めて立ち寄って以降、事あるごとに店主の荻田さんから挑戦や冒険に関するアドバイスをいただいてきた。今年は2度ほど「冒険クロストーク」と称して、僕らのヒマラヤ遠征をテーマにしたイベントを企画していただいた。その中でも荻田さんがたびたび持ち出す、特に印象的な言葉がある。
〝冒険者は、みずからの人性の中で鳴り響く魔神的な呼びかけに応えて、城壁をめぐらした都市から逃げ出すのだが、最後には、語ることのできる物語をひっさげて帰ってくる。社会からの彼の脱出は、きわめて社会化作用の強い行為なのである〟――ポール・ツヴァイク「冒険の文学」より
- 【連載1】「強い山屋になりたい」北大ワンゲル元主将 北海道分水嶺縦走63日
- 【連載2】日高山脈を前に「食料がネズミに」 北海道縦走中のピンチ救った女性
- 【連載3】「成長したかは次の挑戦でわかる」北海道縦走達成、次なる未踏の山へ
この言葉を初めて聞いたとき…