北アルプスの針ノ木雪渓上部で起きた雪崩の跡(中央)。黒い地肌が露出している=2024年4月15日、長野県警提供
  • 写真・図版

 春の登山シーズンを迎え、長野県内の山々には多くの来訪者が見込まれる。人気の北アルプスでは4月になってから雨で雪が解け、大規模な雪崩が発生。ゴールデンウィーク(GW)期間中(4月27日~5月6日)も起きる恐れがあるとして、県警が注意を呼びかけている。

 県警による山小屋関係者への聞き取りによると、4月25日時点の積雪は、北アルプス北部の八方池山荘で50~100センチ、北アルプス南部の西穂山荘で160センチ、八ケ岳の黒百合ヒュッテで20センチ、中央アルプスのホテル千畳敷で280センチ。高い気温や降雨の影響で例年より積雪が少ない地点が多いという。

 県警が4月15日に上空から北アルプスの状況を確認したところ、針ノ木雪渓上部に地肌がむき出しになった「全層雪崩」の跡があった。他の場所にも大規模な雪崩の跡が複数、見つかった。

 県警山岳遭難救助隊の岸本俊朗隊長は「全層雪崩が例年より多い」と話す。雨が降って重くなった雪が、下層から滑り落ちたとみられるという。

 県内ではGW期間中に雨の予報もある。岸本隊長は「雨の後に気温が上がると、特に雪崩への警戒がいる。雪がある大きな斜面の下を通る場合は注意をしてほしい」と呼びかけている。

 2023年のGW期間中(4月29日~5月7日)には県内で18件の遭難が発生し、4人が死亡、9人が負傷した。県警は安全対策の参考にしてもらうため、過去に起きた遭難事例を紹介する動画を作成し、YouTubeの公式チャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCa-Fj62LmDCOktpHmonjT8Q別ウインドウで開きます)で公開している。(菅沼遼)

共有