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南壮一郎さん
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 経営難だった近鉄とオリックスの合併、1リーグ構想と選手会のストライキなどに揺れた2004年の球界再編騒動から、今年で20年。南壮一郎さんは、その際に新規参入した楽天イーグルスの球団創設メンバーだった。その後はハイクラス転職サイト「ビズリーチ」を創業し、昨年、大リーグ・ヤンキースのオーナーの一人にもなった南さんに、日本のプロ野球がさらに発展するには何が必要か聞いた。

 ――球界再編騒動の最中、三木谷浩史会長に直談判し、球団創設メンバーに加わったそうですね。当時の球界はどう映りましたか。

 「プロ野球界は当時、ファンがお金を払って試合を見に来る、という意識が希薄でした。ファンが日常では味わえない感動体験や、心に響く瞬間を作り出すことなど、エンタメビジネスの要素が球団経営に必要でした」

 「どうしたら野球を中心としたライブエンターテインメントを作り出せるのか、と考えました。テーマパークや居酒屋などを参考に、球場内外でお客さまに楽しんでもらう仕掛けを施し、ボールパーク化を進めました。全試合をイベント化し、試合の合間の演出やコンテンツに工夫を加えたり、選手との交流を増やしたりするなどして、ファンの感動や満足度と向き合いました」

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 ――楽天は参入初年度に黒字化に成功しました。球団と球場を一体化して運営し、売り上げを増やしていく手法は他球団にも少しずつ広がっていきました。

 「球団間で成功事例を共有しながら、切磋琢磨(せっさたくま)する姿勢が、球界全体に広がりました。各球団が全力を尽くして同様の努力をした結果、12球団の観客数は今季、コロナ禍による低迷を乗り越えて史上最多を更新しました。ライブエンターテインメントとしての価値は上がったのではないでしょうか。ファンは、楽しい体験があるからこそ、繰り返し球場に足を運びます」

 ――その後、球界から離れましたが、現状をどう見ていますか。

 「プロ野球を一つのビジネス…

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