サッカー女子プロ・WEリーグ、三菱重工浦和レッズレディースのFW清家貴子が、リーグ新記録となる10試合連続ゴールを達成した。Jリーグの連続得点記録は9試合(J3)。それを上回る数字だ。
記録を作ったのは21日のマイナビ仙台レディース戦。呼び水になったのは、先輩の一言だった。
PKでシュートをゴール左に外すなど、前半は沈黙した。「決めなきゃいけないという気持ちで、外した時のショックが大きくなった」。戻った控室では、チームメートの顔を見られないほどだった。
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これまでのWEリーグの連続得点記録は5試合。それを上回り、得点を重ね続けるにつれて重圧は増していたという。
「人生でこんなに追い込まれたことがあるのか、ってくらいつらかった」
そこで思い出したのが、1年ほど前にチームメートのベテランFW安藤梢からかけられた言葉だった。
「苦しい時こそ、守備から入れ」
調子が悪いと感じた時は、懸命に相手ボールを追うこと。それは自分に流れを呼び込むことにもつながる、という助言だった。
清家は「目立たない部分を頑張ろうと切り替えた」。守備に駆け回った後半は、余計なことを考えずに済み、重圧も和らいだ。迎えた29分。右サイドをドリブルで独走し、低い弾道のシュート。相手DFに当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれた。
WEリーグが発足した2季前は3得点だったが、昨季は12得点。今季は15得点まで伸ばし、2位と7点差を付けて得点ランキング1位を独走している。
好調の要因の一つが、主力としての自覚だ。チームの大黒柱、FW安藤とMF猶本光がシーズン中に大けがを負った。筑波大の先輩でもある2人がシーズン途中でチームを離れ、「自分がやらなきゃ、引っ張らなきゃと危機感を覚えた」という。
記録のスタートは、3月にあったINAC神戸戦の同点ゴール。その神戸戦を含めた10試合で13得点を積み重ねた。
リーグ戦は残り5試合。「10試合連続ゴールで周りがすごく盛り上がったので、自分としては一区切り」。ただ、ストライカーである以上、チームへの最大の貢献が何かは分かっている。
「記録にとらわれたくないけど、自分がチームを勝たせるためにはゴールが必要」だと。
日本代表の常連でもある27歳。リーグ連覇、そして今夏のパリ・オリンピック(五輪)の代表メンバーに選ばれるためにも、ここで立ち止まるつもりはない。
次戦は27日、11試合連続得点をかけてホームの浦和駒場スタジアム(さいたま市)で行われるサンフレッチェ広島レジーナ戦に臨む。(藤野隆晃)