写真・図版
コロンビア・ジャーナリズム・レビューのスウェル・チャン編集長=2024年12月5日、ニューヨーク、中井大助撮影

 トランプ前大統領が勝利した米大統領選でも、既存メディアへの不信やその役割が問題となった。政治・選挙報道とメディアをめぐる、米国の現状と課題とは。世界有数のジャーナリズムスクールを擁するコロンビア大学が発行する「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」のスウェル・チャン編集長に聞いた。

 ――米国の政治で、メディアはどのような役割を果たしていますか。

 「いわゆるエリート層の意見形成において、新聞やテレビなど既存メディアは重要な役割を果たしています。しかし、社会の多くの人は異なる媒体からニュースを得るようになっています」

 「インターネットの出現で、広告出稿に頼ってきた既存メディアのビジネスモデルは根底から覆されました。生き残るため、多くの媒体は有料会員から購読料を得るモデルに移っています。これは自然なことですが、結果的に高品質のニュースや情報は有料域にあり、簡単にアクセスできません。一方で、ネットやソーシャルメディアは動画などの無料コンテンツであふれており、誰でも見ることができるのです」

 ――大統領選で、共和党のトランプ氏や民主党のハリス氏は、新聞ではなく(ネット上の音声配信サービス)ポッドキャストなどのインタビューを重視しました。

 「今回の選挙で最も注目を集…

共有