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小学館から復刻された「漫画少年版 ジャングル大帝 豪華限定版」第1巻(左)と「ライオン・キング:ムファサ」のちらし

 ストーリー的にネタバレはありませんが、映画終盤のとあるカットについて触れています。20日公開のディズニー映画「ライオン・キング:ムファサ」に、手塚治虫のマンガ「ジャングル大帝」のとても有名なコマと似たシーンが出てきたよ、というお話です。何の因果でこういうことになるんですかね。ツッコミどころは他にもありますが、基本的に楽しい映画です。

 元をただせば最初のアニメ版「ライオン・キング」が1994年に公開された時、60年代に米でも放送されたアニメ「ジャングル大帝」にいろいろ似ている!パクリでは?と日米で騒動になりました。ディズニー側は「影響は受けていない」と疑惑を否定、手塚プロ側も法的措置をとるといったことはなく、騒ぎは収束しました。

 映画は世界的に大ヒットし派生作品が何本も作られ、2019年には「超実写版」と銘打ちフォトリアルなCGアニメでリメイクされ、その続編(中身は前日談)がこのたびの「ライオン・キング:ムファサ」です。前作で息子シンバを命がけで守り、悪党のスカーに殺された父ムファサの物語。孤児となった幼いムファサは王オバシの息子タカ(後のスカー)に助けられ、兄弟のように仲良く育ちますが、冷酷な敵ライオンのキロスの魔の手から王家の血筋を守るため新天地を目指しタカと旅に出ます。

 物語は、今の王であるシンバの幼い娘キアラに王国の祈禱(きとう)師ラフィキ(マンドリル)が昔話を語るという形で進み、お調子者のミーアキャットのティモンと陽気なイボイノシシのプンバァが茶々を入れます。導入部で、与太を飛ばすティモンにキアラが「お父様はそんなこと言わなかった」と反論すると「お前の父さんはLiar Kingだ」、字幕では「百獣の王じゃなくウソ八百獣の王だ」。ここがまず第1のツッコミどころ。

 私の記憶が確かなら、90年…

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