自殺予防で重要とされる「ゲートキーパー(門番)」。悩みや孤独を抱えた人に気づき、声をかけて寄り添い、必要な支援につなげる役割を担う。薬局の薬剤師が、市販薬や処方薬の過剰摂取(オーバードーズ=OD)などで悩む人のゲートキーパーになることをめざし、高知県で取り組みが進んでいる。
高知県薬剤師会は、約15年前から薬剤師の「ゲートキーパー化」に取り組んできた。理由は、自殺率の高さだ。高知県の人口10万人あたりの自殺者数は19.5人(2022年)で、全国平均17.4人に比べ高い傾向が続く。
県は09年から自殺対策行動計画を策定し、相談体制の充実などに取り組んできた。その一環として、県薬剤師会は薬剤師を対象に年1回の研修を実施し、患者との対話のロールプレイングなどを実践的に学ぶ。
薬剤師が患者とのやりとりの中で、「薬を受け取りにくる間隔が短くなった」「複数の医療機関から同じ薬を処方されている」といったことから、ODや自殺のリスクに気づくことがある。
エール薬局あき店(安芸市)の田村昌士さんは、研修で学んだことをいかし、患者に寄り添った経験がある。
その患者は高校生。薬局を訪れたとき、これまで処方されていた精神系の薬に加え、別の抗うつ剤が新たに処方されていたことに気づいた。
「困ったときに相談できます…