インタビュー連載「電ゲン論」
「脱炭素社会」の実現が叫ばれるいま、あらためて「電気」をどうつくるべきなのかが問われています。原発の賛否をはじめ、議論は百出しています。各界の著名人にインタビューし、さまざまな立場から語ってもらいました。
〈「原発回帰」に進む政府の方針〉
岸田政権が昨年2月に閣議決定した「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」では、二酸化炭素を排出せず、出力が安定しているとして「原子力の活用」を掲げています。原子力規制委員会の審査に通った原発の再稼働を推進するほか、「次世代革新炉」を開発し、廃炉を決めた原発の敷地内での建て替えを進めることを柱としています。
原発は安い、というけど、本当なのか。原子力に依存しない社会の実現をめざすNPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長は、そう単純ではないと指摘します。
再稼働したが・・・ 電気料金が他エリアと変わらない四国
――今年6月の原子力小委員会では、経済産業省が全国のエリア別の電気料金を示し、原発の再稼働が進んだ関西や九州は料金が安いと説明しました。一方、委員である松久保さんは疑問を呈しました。
四国でも原発は再稼働しているのに、他の原発が稼働していないエリアと電気料金が変わらないことが数字からわかります。自説に都合のよい根拠だけを示す「チェリー・ピッキング」ではないかと指摘しました。
四国エリアの電気料金が安くなっていないことは前から問題視していました。関西電力や九州電力と違い、四国電力はスケールメリットがないのが大きな理由だと思います。
――どういうことでしょうか…