昨年4月に改正道路交通法が施行され、自転車に乗る人のヘルメット着用が努力義務化された。県警は今年9月から、「繫(つな)がる・広がるヘルメットの輪」と題し、特に着用率が低い高校生に啓発の協力を依頼。同世代の被害防止に向けた「輪」の拡大に取り組む。
県警が2023年の県内の交通事故データを分析したところ、自転車乗車中に事故に遭った小学生311人のうち6割超、中学生は384人のうち5割超がヘルメットを着用していた。ところが高校生は1150人のうち10.6%。アンケートに「面倒」や「髪形が崩れる」などと回答したという。
「ヘルメットの輪」は、この着用率を上げようと、県内各校に啓発活動の協力を依頼。名古屋たちばな高校(名古屋市中区)と清林館高校(愛西市)が街頭で着用の呼びかけに取り組んだ。
またこのキャンペーンに当たり、県警は県立千種(ちぐさ)高校(名古屋市名東区)の鈴木奏美(かなみ)さん(3年)と、名古屋市立名東高校(同)の道本晴(はる)さん(2年)が制作した啓発ポスターを報道陣に紹介した。
2人は今年の春休みに啓発ポスターを制作し、名東署のコンクールに応募。ポスターは同署が同区内の小学校や高校に配布し、地域の祭り会場などにも掲示されている。
鈴木さんは、「自転車死者の致命傷 頭部約7割」などのデータも盛り込んで、赤い色づかいで目を引くよう工夫した。道本さんはデザインの仕事が将来の夢。ポスター中央に脳みそがヘルメットをかぶった姿のオリジナルキャラクターをあしらい、「かぶった時の安心感を実感してほしかった」と話す。
県警交通総務課の山本清文次長は「ヘルメットは万が一の時に大事な頭を守ってくれる。身近な人からの呼びかけが効果的。高校生から高校生へ輪を広げてほしい」と話している。