重要インフラへのサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」の導入に向けて議論してきた政府の有識者会議(座長・佐々江賢一郎元外務事務次官)は29日、憲法が定める「通信の秘密」の制限を一定の条件下で容認する提言を示した。政府は提言を受け、来年1月に召集される通常国会にACDの関連法案を提出する方針だ。
提言は、政府がネット上の通信情報を収集・分析することを可能にする新たな制度の必要性を強調した。今後、政府が集める情報の範囲を必要最小限にとどめ、目的外に流用されないことを担保する法整備が焦点となる。政府による国民の通信情報の監視にもつながりかねないため、導入にあたっては世論の反発が高まる可能性がある。
提言は現状について、国民生活に不可欠なインフラへのサイバー攻撃が、国家を背景にした形でも日常的に行われているとの認識を示し、「サイバーの世界は常に有事であるとの危機意識を持った対応が求められる」と指摘した。
憲法21条が定める「通信の…