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映画「よみがえる声」の一場面。フィルムをデジタル化する作業を進める朴寿南さん(右)と麻衣さん(左)=シネマダル提供
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 在日朝鮮人2世でドキュメンタリー監督の朴壽南(パクスナム)さん(89)が手がけた映画「よみがえる声」が今月から、韓国で公開されている。壽南さんが30年以上前に撮影した在日1世らの証言映像をデジタル化するとともにその過程をまとめ、苦難の歴史を描いた作品だ。韓国での作品公開を願っていたという壽南さんは「(在日らの)肉声が届いたことがうれしい」と話す。

 壽南さんは今月、ソウルで5回、上映後の舞台あいさつで観客と対話した。その先々で若者たちから「自分たち若い世代が忘れ去っている歴史を記録し、伝えてくれてありがとう」と声をかけられたという。

 壽南さんはこれまでに広島、長崎の朝鮮人被爆者や、元慰安婦などの歴史問題に当事者の証言を通して向き合い、今回を含め5本のドキュメンタリー映画を発表してきた。1985年から91年にかけて撮影した約50時間分の16ミリフィルムが残るが、作品になったのは一部だけだ。

 フィルムの劣化が進み、この…

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