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大分県

 大分市は、市立小中学校と義務教育学校の夏休みの終了日について、現行の8月24日から同月31日までと7日間延長すると発表した。熱中症事故を防ぎ、児童生徒の負担軽減をしてゆとりを持ってもらうのが狙いで、来年度から実施する。

 この方針は、足立信也市長が11月の定例会見で明らかにした。

 大分市の8月は、2014年は猛暑日が0日、21年は1日だったが、今年は15日もあった。最高気温の平均も、14年は30.1度だったのに、24年度は34.4度だった。暑さ指数が33以上と予測されたときに発表される「熱中症警戒アラート」も、今年は50日出された。

 文部科学省によると、近年、学校での熱中症は、小・中学校と高等学校などで毎年5千件程度発生しており、18年度には7千件を超えた。こうした熱中症事故から児童や生徒の健康を守るため、市は昨年から夏休みの延長や冬休みの短縮を検討してきた。

 2学期の授業日数を20時間軽減させ、83日から78日に減らす方針も決めた。児童や生徒が家庭や地域とふれあう時間を十分に確保できるよう配慮するという。

 背景には不登校の児童生徒の増加がある。市立小中学校と義務教育学校での不登校児童生徒数は、昨年度は1665人で、前年度より256人増加。小学生は43人に1人、中学生は12人に1人の割合で不登校が発生している状態だ。

 こうした事態を受け、市は長期休業明けの授業時間を4~5時間に調整したり、部活の練習時間を減らしたりするスロースタート期間を、今年から一部の学校で導入している。夏休みの延長と組み合わせることで、より効果が表れるのではないかとみている。

 足立市長は「年々暑さが過酷になるなかで子どもたちの健康を守るとともに、不登校の児童生徒らのサポートもしていきたい」と話している。(神崎卓征)

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