名古屋市長選では、各候補がそれぞれ、保育料の完全無償化など子育て支援策を訴えている。昨年1年間に市内で生まれた赤ちゃんは1万6393人(外国籍の子も含む)。子育ての現場を歩くと、「支援が足りない」といった声が聞こえ、課題も見えてくる。(国方萌乃)
支援員の「大丈夫」に救われた
ののかぜ保育園(名古屋市千種区)の一室にある「みんなのはらっぱ」。11月半ばに訪ねると、木のおもちゃや絵本、ままごとセットがそろう部屋で、母親と赤ちゃんが5組ほど遊んでいた。
「ここは私の精神安定剤です」。近所に住む塩崎優香さん(36)は週に1度、生後11カ月の次男を連れて来るという。
塩崎さんはここで次男を遊ばせながら、ほかのお母さんとおしゃべりしたり、支援員に子育ての悩みを相談したり。塩崎さんにとって、息抜きする場のようだ。
初めて来たのは、長男(5)が赤ちゃんの頃。1歳になっても言葉を発さず、SNSを見れば同年代の子を持つ親たちの「しゃべった!」の投稿があふれていた。不安だった。でも、ここで支援員に「大丈夫」と言われて救われたという。
「二つ目の『拠点』あってもいいのでは」
「はらっぱ」は、名古屋市指定の「地域子育て支援拠点」だった。
当時、平日は毎日開いていた「はらっぱ」だが、今は週3日に減った。開室時間も午前10時~午後3時だったが、正午までに。背景に、2023年度末で、支援拠点としての市の委託契約が終わったことがあるという。
「市からの委託料がないなか…