「子どもの権利条約」に日本が批准して30年が経つ。スクールソーシャルワーカーで、「知っておきたい 子どもの権利」などの著書がある鴻巣麻里香さんは、いまも子どもたちの日常生活のなかで、権利が守られないケースを目の当たりにしているという。身近な大人が意識すべきこととは。

写真・図版
鴻巣麻里香さん=東京都内

 ――「親に殴られる」などの虐待や体罰から、子どもの意見を聞かない理不尽な校則まで、著書ではあらゆる権利侵害のケースを紹介しています。

 いずれも私が実際にスクールソーシャルワーカーとして関わった、子どもの権利侵害のケースです。

 子どもの権利について考えるとき、「何か特別なこと」のように身構える人が多いと思います。でも実際には、すでにいろいろなところで権利が脅かされているので、大人が「まず害になることをやめる」ことから始める必要があります。

 ――大人が変わるべきだと。

 私も昭和生まれですが、私たち大人は、権利が守られない時代を生きてきました。子どもの願いや思いは聞き入れられず、ルールを破れば叱られて終わりでした。

 そんな私たちは、無意識のうちに子どもの権利を侵害する恐れがあります。まずはそこを受け入れる必要があります。

権利侵害に意味を持たせる大人たち

 ――まず、何が権利の侵害か知るべきだと。

 そうです。それでもつい私た…

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