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土地区画整理後の街並み=2024年2月、コロンビア・メデジン、JICA提供撮影
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 日本による四半世紀にわたる中南米への土地区画整理の研修が、現地の治安改善に役立っている。コロンビアでは、かつての麻薬王の拠点で実施され、人口10万人あたりの殺人事件の発生が約20年間で1割未満に減少。日本で学んだ都市開発の手法が各地で根付いている。

 「区画整理は、社会そのものもよくする」。元コロンビア国家企画庁都市開発局長のアウグスト・ピント・カリージョさん(59)は力を込める。

 国際協力機構(JICA)は1998~2007年、土地区画整理を行っていた北海道帯広市で毎年研修を実施。コロンビアやペルー、ボリビアなど南米5カ国の公務員計68人が3カ月間にわたり滞在し、ピントさんもその一人だった。

入り組む路地、潜む犯罪者

 コロンビア第2の都市メデジンでは、1970年代に麻薬王と呼ばれたパブロ・エスコバルが犯罪組織「メデジンカルテル」を設立し、最盛期には世界のコカイン市場の8割を支配したとされる。90年代に組織は解体されたが、2000年代も取引を巡る小競り合いが続き、治安は悪いままだった。

 メデジンは盆地の街。周辺の…

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