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非常用渡り板=JR四国提供
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 JR瀬戸大橋線で架線が断線し、快速マリンライナーが瀬戸大橋上で約6時間立ち往生した10日のトラブルについて、JR四国が20日、記者会見を開き、乗客が救援列車に乗り換える際に用いる非常用渡り板がマニュアルに定めていた場所で見つからず、救出が約2時間も遅れたことを明らかにした。

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 JR四国の説明によると、金属製の渡り板は長さ2.8~4.3メートル。岡山側の児島駅と、香川側の坂出駅、宇多津駅の3カ所に保管していた。

 当日は、児島駅から救援列車を横付けし、渡り板を使って乗客150人を救出した。この検討段階で、児島駅の渡り板がマニュアルに定めた保管場所のポンプ室にないことが判明。児島駅にいた同社社員が急きょトラックで坂出駅に向かい、渡り板を持ち帰るまでに約2時間かかったという。

 渡り板はその後、児島駅のホーム下から見つかった。2013年に移動させた記録も見つかったが、マニュアルに反映されていなかったという。

 渡り板を使った救助訓練はしてきたが、児島駅で保管していた渡り板は1988年の瀬戸大橋線開業以来、一度も使われたことがなかった。

 同社安全推進室の坂中真文副室長は「この2時間を重く受け止め、お客様が不安だっただろうと反省している。渡り板が発見できなかったことは非常に申し訳ない」と陳謝した。

 四之宮和幸社長は渡り板の準備に時間を要したことと飲食物をいち早く乗客に届けることができなかったことについて「オペレーションに問題があったと考えており、マニュアルの改善や非常用設備の適切な管理などを進める」とコメントを出した。

 一方、トラブルの原因については、何らかの要因で架線が切れた結果、パンタグラフなどが破損した可能性があるとの見方を示した。詳しい原因はわからず、鉄道総合技術研究所に調査を依頼したことを明らかにした。(福家司)

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