写真・図版
脚本家・演出家・映画監督として活躍する加藤拓也さん。「劇団た組」を主宰している。

 顔を合わせなくても、デジタル空間で人と人とがつながっている、いま。もうこの世にいない友人も、スマホの中で生き続け、時折、語りかけてきます。それは人が生きていた「証し」なのでしょうか、それとも――。

 演劇と映像で活躍する脚本家、演出家、映画監督の加藤拓也さん(30)に語ってもらいました。

会話が「再生」される、SNSに残る言葉

 小学2年から学校の授業でパソコンを習い、インターネットが当たり前にある環境で育ちました。SNSやオンラインゲームを通じて、「顔を知らない友達」もいます。僕らの世代では、それは珍しいことではありません。

 人間関係として、円滑なコミュニケーションをとれる人だけが集まって、他者を排除するような「ムラ」は好きではない。コミュニティーは作るけれど、お互い自由に移動し、排他的にならない関係が心地良い。そういう感覚で「友達の範囲」を考えています。似た意識の同世代は多いと感じています。

 かつてはリアルに顔を合わせていて、いまはSNSだけでつながっている同級生が何人もいます。本人が亡くなったという知らせがSNSで届くことがあります。フォローをはずす気にならず、そのままにしていると、何かの拍子に、以前に交わしたやりとりが目に入ります。

余命宣告された友人が望んだこと

 SNSはしゃべるように書く…

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