長く低迷してきた中国のサッカー界で今、日本の指導者に光があたっている。2026年ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で、19日に福建省アモイで対戦する両国。中国にとって、出場権を争う相手だが、W杯常連国となった日本から指導のノウハウを吸収する狙いがあるようだ。
10月に行われた17歳以下(U17)アジアカップ予選。中国は最終節で韓国と引き分け、来年4月に行われる本大会出場を決めた。率いたのは、日本代表経験もある上村健一さん(50)。現役引退後はJ3カマタマーレ讃岐や中国のクラブの育成組織で指導経験を積み、今年2月に16歳以下(U16)代表チームの監督に就いた。
4月にはJ1湘南ベルマーレ元監督で育成年代でも長く指導した浮嶋敏(びん)さん(57)が15歳以下(U15)代表監督に就任した。日本サッカー協会の関係者は「U15やU16の代表監督に日本人が雇われるなんて、以前では考えられなかった」と話す。
選任する側の中国サッカー協会の育成部門を担当しているのは、J1川崎フロンターレの育成組織でコーチ経験もある高升さんだ。
「中国では、日本のサッカー界に対するリスペクトがある。日本人指導者への期待も高まっている」。そう口にするのは元Jリーガーで、11~13年に中国でプレーした楽山孝志さん(44)。14年から中国・深圳で子ども向けのサッカースクールを経営する。
かつて、W杯で2度日本代表を率いた岡田武史さん(68)が12、13年に中国スーパーリーグのプロクラブを指揮したことはあった。改めて日本の指導者が注目された背景には、中国サッカー界の停滞がある。
10年代、国内リーグは大き…