写真・図版
日本フリーランスリーグの報告会であいさつする、やくみつる名誉会長(中央)。調査では著作権や著作者人格権に関する要望が多かった=東京都千代田区

 フリーランスには、イラストレーターなど創造的な仕事で収入を得ている人もいます。そうした仕事で目立つトラブルが、著作権を巡る発注側との行き違いです。1日に施行されたフリーランス法は著作権トラブルの解消につながるのでしょうか。(編集委員・沢路毅彦)

制作後に7年やりとり「疲れました」

 「制作が終わってから7年も交渉して疲れました」。そう話すのは、神奈川県内に住むフリーランスのイラストレーター。著作権を巡る苦い経験だったと振り返る。発注側の言い分が二転三転したからだ。

 最初に仕事の依頼が入ったのは2015年秋。イラストのエージェントからだった。イラストレーターが、自分のHPに載せていた実績を見て依頼してきたという。

 依頼は、大手レジャー会社が発注元の広告の一部にイラストを使いたいという内容。広告全体を請け負う代理店が間に入っており、エージェントから届いた最初のメールには「著作権の譲渡は希望しない」とあった。

 イラストレーターは12月から制作にとりかかった。契約書は結ばれないまま、16年3月末にイラストは完成、納品した。

 すると夏になって、エージェントから「発注元が『著作権を譲渡してほしい』と言っている」と連絡があった。最初は断ったが、押し切られた。

 18年になると、今度は間に…

共有