写真・図版
朝日の中で

それぞれの最終楽章 また会う日まで!(10)

朝日新聞編集委員 中村俊介

 可能な限り普段の日常を続けようと2人で決めていた。散歩しながら、僕はプロの書き手だから文字にまとめようかと提案したら、珍しく乗ってきた。それがこの終活日記。記念すべき二人三脚、最初で最後の共同作業だ。

 妻はおおざっぱで理屈より行動、勝手に先走るし独立志向も強い。整理整頓はできない。対照的に僕は、意外ときちょうめんできれい好きだが、後ろ向きでくよくよタイプ。妻のいい加減さが我慢できず、片付けで何度もけんかした。

  • 「それぞれの最終楽章」一覧はこちら

 性格は正反対で、相性も決してよかったとは言えない凸凹コンビが、曲がりなりにも30年余を添い遂げられたのは、亡き娘の存在が大きかったのだと思う。

 不思議なことに、妻のがんが…

共有