北陸新幹線の敦賀―新大阪間の整備を進めようと、沿線の自治体や経済団体などが集まる総決起大会が14日、東京都千代田区のホテルであった。小浜・京都ルート新規着工の予算確保や、環境アセスメントの丁寧・迅速な実施などを求める決議を採択。ただ、同ルートへの評価や着工への熱量には温度差もみられる。
大会には約320人が参加。京都、大阪両府の知事や府議会議長の姿はなかった。
主催した関西広域連合の連合長、三日月大造・滋賀県知事は国会議員や国土交通省幹部らを前に「年末の政府予算案決定に向けて議論を加速化させ、(小浜・京都ルートの)新規着工に必要な予算を確保していただきたい」などと訴えた。福井県の杉本達治知事は「年末は政治決断の時にしていただきたい」と迫った。
敦賀(福井)以西の延伸をめぐっては、石川県議会や同県小松、加賀両市議会が米原ルートの再考や転換を求める決議を可決している。京都府では自民党の府議団が11日、府北部をはじめ府全域に整備効果を波及させるためとしてルートの再考を国に求めるよう西脇隆俊知事に要望した。
杉本知事はこうした動きを牽制(けんせい)し、「米原(ルート)だったら10年で出来るというが、働き方改革や環境アセスメントなどで、うまくいっても20年とプラスアルファの時間がかかる」と小浜・京都ルートでの整備を主張。稲田朋美衆院議員(福井1区、自民)も「検討し尽くして、小浜ルートに決めた。調査費もつけて調査も始まっているし、ここから他のルートを検討することは、北陸新幹線の最後の1ピースを埋めることについて、手戻りで、足を引っ張ることにしかならない」と述べた。
京都府からは、武田一寧副知事が西脇知事のあいさつを代読。「国や鉄道・運輸機構には、地下水や建設発生土といった施工上の課題に対し慎重な調査と説明をお願いしたい」と訴えた。また、建設費の地方負担減、府北部などと新幹線駅との交通アクセスの整備も要望した。
小浜・京都ルートに異を唱えている小松市の宮橋勝栄市長は大会後の取材に「ここまで突っ込んできたことを無駄にできないから前に進むしかないというのは危険な発想。(最大5兆円に膨らんだ)今の事業費データのもとで、最善の道を探っていかなければ」と話した。(永井啓子)