写真・図版
アニメ「タイガーマスク」の主題歌をうたった歌手の森本英世さん。マントはマネジャーの手作りだという

 古く、非効率で、差別天国だったように今は語られる「昭和」。だが、弱き者への視線が温かった時代でもあったのでは。「タイガーマスク」の主題歌を歌った森本英世さんは、2010年ごろに突如よみがえった「伊達直人」の名前に感無量だったという。

リレーおぴにおん 「100年目の昭和」 

 歌手デビューしたのは1969(昭和44)年です。都内のホテルで先日開いた「55周年ディナーショー」では、新曲の「東京ナイトバタフライ」も披露しました。

 その場で異様なほど盛り上がった曲が、テレビアニメの主題歌「行け!タイガーマスク」です。数社が競作で出したレコードは250万枚以上も売れたヒット曲で、歌手の「新田洋」は、20歳の私の芸名でした。65年に芸能プロのオーディションで1万5千人から選ばれ、デビューを待っていました。

 譜面を読めて初見で歌える、無名の若手であること。A面とは曲調が違う、エンディング曲のB面「みなしごのバラード」を美しく歌えること。これが条件で、幸運にも私に白羽の矢が立ったのです。

 スタジオで初めて歌詞を読んで、心を揺さぶられました。

 このアニメは、主人公の覆面…

共有